8月後半、もうシーズン終盤に差し掛かる沢。
朝晩の冷え込みは街中の暑さと違って秋を感じる。
標高が高いほど葉が色づき始めてる。
毎週長野の沢を懲りずに開拓していたが、中々いい沢には当たらなかった。
と言っても、大きさや数を追い求めてしまう釣り人が贅沢なだけだと思う。
希少なヤマトイワナに出会えたらもう満足と言っていいだろう。
白系のヤマト。透明感がある綺麗な魚体。
ヤマトイワナには、白系、黒系がいる。
そしてそれぞれに朱点が濃い個体群と薄い個体群が存在している。
稀に朱点も白斑もない個体もいる。
魚影は薄く型も小さいが、綺麗な魚と景色を見ながらの焚き火休憩も好きな時間。
ナイフはヘレのユートゥベーラ。
鋼材はステンレス系なので、水に濡れる事が多い釣りにはピッタリ。
ステンレスは研ぎにくいなんて言うが、そんなに手間もかからない。
3ミリ厚の刃はフルタングで、細めの材ならバトニングも楽勝。
これはまた別の沢。ニッコウイワナとの混血個体
釣ったわけではないが、ヒキガエルが歩いていたので写真を撮らせてもらう。
ブフォトキシンという強力な神経毒を持っているが、おそらく絶体絶命の死ぬ時に出てくるくらいだと思う。
沢ではよく会うが、触らせてもらってもいつも大人しい。
こちらも朱点が薄くて白い個体。
白系で、朱点が濃い個体は見た事がないし、写真や映像でも見ない。
この沢も水量はごく僅かで、小型ばかりだが数はそれなり。
枯れずに残っていて欲しい大事な環境。
小雨が降っているのでタープ張って休憩。
下の方で釣れた混血個体を頂く。
火は見るだけで少し温まる気がする。
それから先に進むと、水が無くなった。
だが、沢が流れていた痕跡はある。
乾いた岩の上を数百メートル進むと、水の音がしてきた。
伏流水のように地下に水が流れているようで、その先から水が地表まで出てきた。
水量豊富な春なら地表を水が流れているのだろう。渇水期になると地表の水が途切れる訳だ。
魚が棲めるように見えない、痩せ細った沢でまたヤマトイワナが出てきてくれた。
異常気象などで、雨が極端に減ったらこんな沢はすぐ干上がる気がする。
それでも険しい山岳地帯、与えられた環境下で生きていくのが野生なんだと思う。
人間は甘っちょろいと気付かされるが、それだけ恵まれているということでもある。
昔の林道も、数年経てば山に飲み込まれる。
また別の沢の釣果だが、ここには混血しかいなかった。
山の朝は遅く、気温の上昇も緩やか。
焚き火でイワナの塩焼き。これが朝飯になる。
この沢は滝をひとつ越したところから1匹の魚も居なかった。
車で4時間、移動費を掛けて入渓した沢が開始30分で終了してしまう。
新規開拓のリアルはそんなものだ。